つちのはなし 第一回 土に住まう

普段感じていますか。空を見上げるとそこには手の届かない大自然があり、下を向くと、そこに土と水があります。土と水がなければ、木も育ちません。
左官はこの土と水と木(植物)を組み合わせ、古くは縄文時代、竪穴式住居から始まり、安土桃山時代には、色土と植物繊維を使い分け、住まう壁として完成させてきました。

現在日本では、伝統的木造住宅に木で軸を作り壁の下地として、竹を編み、土と米藁と水を混ぜ、土壁として利用しています。

ただこの工法も、次第に姿を消し今では限られた住宅として、ほとんど見られません。原因としては、土壁を乾かすのに時間がかかる事などいろいろな問題点が有るからです。
しかし、土壁には良い事もあります、乾燥後、空気中の湿気を吸い込み必要に応じてはき出す、調湿効果がある事や、ホルムアルデヒドのような空気中の有害物質を吸着固定できる事など、現代病を引き起こす原因を軽減させることができます。

もう一つ大切なことは、土や木はもとにあった自然に返すことができるし、もちろん再利用も可能です。現代の建築ではなしえない特性を持つ土をいかに、現代の住まいの中に取り込んで行くかが焦点です。長く、共に生きてきた、土を最大限に利用したいものです。