大津磨きとは、土に石灰と繊維を混ぜ、タイミングよく何層も壁に塗り付けたあと、何回も壁に圧力を掛けるように鏝を操作し鏡のような壁に仕上げることです。
今のような洋服ではなく、着物を着て生活していた時代に廊下やトイレなど着物が壁に擦れると、土壁では着物も壁も傷みます。
そこで、ツルツルの磨きの壁が使われていたようです。
昭和8年から工事、10年に竣工され現存する大津磨きとして、遠山記念館のトイレの壁面が有名で、弁柄の大津磨きで、とても綺麗に扱われ残っていて、私の先生でもあります。
現在の私の仕事に、多く使うこととなり、カマドを始め壁、丸窓などの役物の小面に施工して、土壁と共存させています。
大津磨きを施工するきっかけになったのは、全国左官技能競技大会で一番になったことかな、その大会な中での1番なのですが、当時、左官やらしたら、どんなことも1番にできるくらい世間の評価は高かったですね。自分自身、時の人となっていて、良いこともあればその裏もあります。
負けず嫌いの性格が奮い立つ出来事があり、誰にも負けないような、高度な左官仕事を習得したいって想い、土壁が大好きだったのもあり、土の磨き「大津磨き」に夢中になりました。
ただ、その道のりは険しく途中、クモ膜下出血にて手術療養に1年間、その後現場にて復活を遂げるのには2年あまり、計3年間の時期を越え、現在に至ります。
大津磨きが、私に力をくれたのです。
土にはセラピー効果があるようですね。
土に石灰と繊維を混ぜたものを用いて塗る大津磨きは、技術的にも非常に難しくまた大変手間のかかる仕事ではあるが、出来上がった壁は独特の壁肌が得られ、奥ゆかしい壁となる。また土本来の柔らかい光沢が、磨き上げの技法によって鏡のような仕上がりになるのも特徴である。
大津磨きは外壁(雨の当たらないところ)の化粧用や階段・廊下等、人がよく通るところに施工される。通常の土壁では、着物が擦れて傷んでしまうが、土を磨き鏡面にすれば、着物が擦れても傷まない。大津磨き壁は水拭き・空拭き等の手入れによって永くその光沢を保つことができる。
昭和10年に竣工され現存する大津磨きとしては、遠山記念館のトイレの壁面である。弁柄(べんがら。原料である酸化鉄赤のこと。)の大津磨きで、昭和10年の竣工から現在まで同じ美しさを保つ。この仕事が松木の仕事に大きく影響し、現在では竃を始め壁、丸窓などの役物の小面に施工して、土壁と共存させている。